これからを生きる為に――僕は君たちに武器を配りたい
率直に、なかなか挑戦的なタイトルですね。
2011年に刊行された本ですが、今でも充分に通用する内容で、結構面白いです。
はじめの語り出しでは、リーマンショックの冷え込みを例としています。
今はコロナによって社会経済が冷え込んでいますので、この点で現代と通じる所がありますね。
そんな中でも「希望」はつくり出せる、と著者は語っています。
次に続けて、「投資家的な生き方」のすすめが語られています。
一攫千金を狙うのではなく、自分の時間と労力、そして才能を、何につぎ込めば、そのリターンとしてマネタイズ=回収できるのか
これを真剣に考えよ、ということで本書が展開されていきます。
各章では資本主義についてであったり、起業家としてのすすめが語られていますが、その中でも第4章を例として、紹介したいと思います。
日本人で生き残る4つのタイプ、生き残れない2つのタイプ
ここでは、漁師を例に語られています。
儲からない漁師というのは、ただ人に使われているだけの漁師であることは何となく分かります。これを「コモディティ」の漁師として定義しています。
前章では、コモディティの定義が語られていました。
本来は石鹸や歯ブラシと言った「日用品」を指す言葉ですが、経済学や投資の世界ではちょっと違う意味で使われています。
市場に出回っている商品が、個性を失ってしまい、消費者にとってみればどのメーカーのどの商品を買っても大差ない状態。
話を戻して、生き残れないタイプ、というのが次の2つ。
・捕れた魚をほかの場所に運んで売ることが出来る漁師
・一人でたくさんの魚をとるスキルを持っている漁師
そして、生き残れるタイプというのが、次の4つ。
・高く売れる魚をつくり出すことができた漁師
・魚を捕る新たな仕組みを作り出す漁師
・多くの漁師を持つ、漁師集団のリーダー
・投資家的な漁師
生き残れないタイプについて、1つめがトレーダー的なタイプ、2つめがエキスパート的タイプです。
トレーダー的なタイプについて、単に右から左へ流すだけの人々が生き残れないというのは、何となくわかるのですが、エキスパートが生き残れない、というのはどういうことなのでしょうか。
エキスパートが生き残れなくなる理由が、ここ10年の産業スピードが、これまでとは比較にならないほど速まっていること、が理由としてあげられています。
産業構造の変化が激しく、積み重ねてきたスキルや知識が、あっという間に過去のものになってしまう。
ここで石炭産業が例としてあげられています。
1950年代から60年代は、炭鉱労働者は高給取りでした。
しかし、1960年代の半ばから、エネルギー主体が石油に変わり、マイニングのエキスパートは一気に仕事がなくなってしまう、ということになりました。
プログラミングにおける言語の変遷もそうですね。
折角身につけたものも、過去の遺物になってしまう。
もっとも、基礎的な所は繋がっているものもあり、新たな言語を学習する場合でも、その足がかりにもなるので、全く無駄と言うことも無いのですがね。
ある時期に特定の専門知識を身につけても、その先にあるニーズが社会変化に伴い消えると、知識の必要性自体が一気に消滅してしまうのである。
故にこの2つのタイプでは駄目だと語られています。
第4章について、要点だけざっくりとまとめましたが、本書ではその他具体例を挙げながら、投資家としてどう生きるべきか、ということが分かりやすく書かれています。
ロングベストセラーとなっている本書はぜひ一度、読むことをオススメします!